2008年11月16日日曜日























「⑧」に関する記述

nikkeiBP(左画像)
板で作られた球の中に「八王子」の文字。板の内側にはアンケート「SecondLife上の八王子に興味を感じるか。Yesなら、どういう点に興味を感じ、何をしたいか。Noなら、なぜ興味を感じないか」の回答が貼られている。これらは首都大学東京の学生を中心に、八王子で生活している人から実際に採ったものである。
また床面には「八王子にどういうイメージがあるか」という質問への回答が散りばめられている。
八王子の文字を中心に、人々の考えは八王子をとりまいている。
「八王子」の「子」をタッチするとnippaku100に移動する。

nippaku100(右画像)
nikkeiBPからテレポートすると、目の前に仮想雑誌「週刊鈴藤」の広告。内容は自班の土地の内容と、他班の土地の内容を週刊誌調に紹介。完成したもののみならず、制作途中での出来事も紹介されている。
こちらの床面はまるごと新聞。その内容は今回のプロジェクト「i-japan」に関するものである。
nippaku100からnikkeiBPへのテレポートポイントでは、他班の土地へのテレポートも可能。このテレポートポイントは新聞の記事見出しに倣っている。記事見出しから目的の記事に辿りつくのと同じように、目的の土地に辿りつくことができる。


以上、ビジュアル面での特徴として「新聞・文字」というモチーフに着目して空間を作った。
この空間のコンセプト面での特徴としては、決まった完成を求めていないということが挙げられる。たとえば現在、板の内側にはアンケートの結果が載っている。これを「印字されている・書かれている」でなく「載せられている」と言う根拠は、内容の差し替えが可能なものとして考えている点にある。言わば「掲示板」(フィジカル/メタフィジカル、どちらにしても。この点については後述する)に近いものとして、この空間を制作した。技術的に可能であれば、自動的に回答を回収しテクスチャーを貼り付ける、といったものを想定していた。webという不定形・更新の世界において定型の存在などありえないはずなのだ。サービスであろうとコミュニケーションであろうと、「作品」であろうと。

これはSecondLifeでの「ネット掲示板」、「コミュニケーションのプラットフォーム」を目指したと言って良い。


さて、そう言ったところで問題がいくつか。

集まる情報が玉石混交であるということ。今回のような単純なYes/No形式、さらに情報の質を意識せずに集められる状況ならば問題はない。また今回のアンケートは実施者と回答者が互いに顔が見えていた。
そういう形でない、大規模実施を考えた時に、どうなるだろうか。

今回集められた八王子のイメージは、少なからず否定的なものである。それを見た人はどう感じるのか。制作者たる私たちがそう思った内容ではないからこそ、そういうことが心配になる。私たちの行ったことは情報操作に近いものがある。
それを司っている「文字・言葉」という問題なのかもしれない。自分が実際に体験する以上に、文字による体験(その内容は完全に虚構と言いきれるものではない)にはある種のエグさが伴わないだろうか。


「八王子」というテーマから少し脱線したような論旨・作品制作に傾斜した感があるものの、制作に際して知って作り上げた多様な八王子だけが課題の成果物ではない。
webにおけるエグさ。仮想の痛み。それらとどう立ち向かい制作を行うのか。そこに問題がある。

(t.sato)

1 件のコメント:

きゃおる さんのコメント...

観点として、一番気になっていたグループです。本当にお疲れ様でした。

明日のプレゼン楽しみにしてます♪

参加ユーザー